2013年01月26日

バイオ バブル?

いわゆる上場バイオベンチャーの株価が急上昇している。
 この表は私の定義でバイオベンチャーに分類している企業の2013/01/25終値に基づく時価総額だが、最高額のナノキャリアは1000億円に迫る勢いである。2位のカイオム・バイオサイエンスも700億円を超えており、300億円を超える企業が5社もある。 これがどのくらいすごいことか。 例えば1〜2年前は、数社を除くほとんどの企業が100億円以下で、その数社でさえ300億円を超える企業が1社も無かったと言えば分かってもらえるだろうか。
20130125_BioTechJapan.PNG
 急上昇している企業のうち、数社は株価が上がって然るべき大きな事業進捗があった。しかし、その他は特にそれほど大きな進捗と言えるものは無かった。
 いつから上がり始めたのだろう。 このグラフは直近一ヶ月のものだが、だいたい1月初めになって上がってきたのは見てとれる。 より正確に言うと、事業進捗によって数ヶ月前から上がり始めていて1月初めの上昇とトレンドがうまく切り離せない企業もいくつかあるのだが、他のほとんどの企業はこのグラフの通り、1月初めからの急上昇と言って良い。
20130125_BioTechJapanGraph.PNG

 何があったのか。 業界では、12月半ばの政権交代で株式市場そのものが上げ基調であった上に、1/10に再生医療研究(特にiPS細胞関連)に文科省が1100億円の予算を付けるという発表があったせいではないかと言われている。 いわゆる連想買いというやつで、再生医療に関係の無いバイオベンチャーまで軒並み上昇している感がある。
 実は、2004〜2005年頃もバイオベンチャーの株価は高かった。 日本初のバイオベンチャーの上場は2002年のアンジェスMGで、2003年にはオンコセラピー、2004年にはそーせいが上場した。 その頃のバイオベンチャーの時価総額は500〜1000億円で、それが妥当だったかどうかはともかく、ちょっとしたブームではあった。 それを見て、値付けの根拠を理解しないままバイオベンチャーへの投資を盛んに行ったVCも当時は本当に多かった。 VCから投資を集めるバイオベンチャー側も強気で、「投資させてやっても良い」という態度だったし、非常に高額な株価を提示していた。
 しかし、その後、バイオベンチャーのビジネスモデルや企業価値評価手法が十分に理解されていない日本の株式市場では不安が広がり、上場バイオベンチャーの時価総額は日に日に低下。 新規上場も滞りがちになり、2008年頃から長らく、バイオベンチャーは上場したとしても数十億円の評価でしか上場できない、そもそも手数料が収益源である証券会社がバイオベンチャーの上場を手がけてくれない、という時代が続いた。
 2012年は、典型的なバイオベンチャーのビジネスモデルより早期に収益を上げられるよう、ビジネスモデルを少し改良したようなバイオベンチャーが続々と上場したり、典型的なビジネスモデルのバイオベンチャーも成果を出して価値を理解され始めたり、状況が変わりつつある感があった。 しかし、正直に白状するが、政権交代がここまでバイオベンチャーの時価総額に影響するとは全く予想外だった。 じゃっかんバブルを懸念する声も周りからチラホラ聞こえるが、上場しているバイオベンチャーにとっては嬉しい状況だろう。

 ちなみに、ナノキャリア(4571)、キャンバス(4575)、ジーンテクノサイエンス(4584)、UMNファーマ(4585)、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)、セルシード(7776)の6社は、私自身が直接担当した、かつての投資先である。
 今日は、何となく、昔を思い出して、感慨深い。
posted by 角田 健治 at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ベンチャーキャピタル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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